この時のために [聖書]エステル4:1-17

「あなたがこの王国に来たのは、もしかすると、このような時のためかもしれない。」    
エステル四章十四節

この時のために
[聖書]エステル4:1-17

 クセルクセス1世(前486-465)のペルシャ帝国において、その支配下にあるユダヤ人が絶滅の危機に陥るという事件がこの書の中心です。

王が出した詔勅には、「一日のうちに、若い者も年寄りも、子どもも女も、すべてのユダヤ人を根絶やしにし、殺害し、滅ぼし、彼らの家財をかすめ奪え」(3:13)と記されていたのです。

この重大事件の原因は、今日の世界でも同じように見られる権力者の支配欲と傲慢な心です。

 この出来事の歴史的文脈は、ユダヤ民族のごく一部は、クロス王の第一次帰還によってエルサレム神殿の再建に関わっている時期であり、エズラ記では6章と7章にあたります。

広範囲にわたるペルシャ帝国には、まだまだ多くのユダヤ人が散在していたのです。

 そんな中で、ユダヤ人のモルデカイが王宮の門で仕えていたのです。

 後に王妃となるエステルは、このモルデカイの養女です。

この書の大きな特徴は、神名が一度も記されないことと、異教の国の王妃となったエステルが書名とされていることです。

私たちは、この書を通して、政治的、社会的、個人的な活動の中にも神の摂理が働かれ、ご計画が実現することを教えられるのです。

1.ユダヤ人根絶の発端は

 この大事件の発端は、アハシュエロス王の最側近に抜擢されたハマンが驕り高ぶり、彼に対し、決して膝をかがめてひれ伏すことをしなかったモルデカイに対して激しい憤りに満たされ、王国中のユダヤ人を根絶やしにするために、「王の法令に守らない一つの民族がある」と巧みに王を説得し、王の指輪で印が押され発布されるのです。

2.モルデカイの祈りと願い

 この書には、他の書に見られる神名はなく、神への信仰を示す用語もほとんどありません。

にも関わらず、唯一絶対の神を信じる者の信仰の生き様が如実に表現されています。

民族の存続の危機にあって、一人の人間がどんな行動を取るかは、終末の世にある私たちキリスト者と教会に大きなヒントを与えるものだと思わされています。

3.もしかすると、この時のために

 王妃となったエステルの経緯と、エステル記が聖典とされたことに、否定的な学者がいたことは事実です。

しかし、導入でも触れたように、神には人知を超えた計画があり、それを実行、実現される全能の力があるのです。

義父のモルデカイは、エステルにそのことを告げ、主のみこころを尋ね求めるのです。

14節を心に覚えたいと思います。

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あすなろ福音キリスト教会 牧師

日本福音キリスト教会連合(JECA)
あすなろ福音キリスト教会 牧師
青森県十和田市生まれ
近畿大学商経学部卒&聖書宣教会(神学本科卒)

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