Pastor Macky 69の『いのちのパン』
アントニオいのち58
「人が友のためにいのちを捨てること、これよりも大きな愛はだれも持っていません。」(ヨハネ15:13)
<Greater love has no one than this.>
森鴎外の『最後の一句』に、さらし者にされ、斬罪に処せられる桂屋太郎兵衛のために、16歳の長女のいちが、いのちを捧げる覚悟で妹たちを連れて奉行所に願い書を差し出すというくだりがあります。
厳しい取り調べにも動ぜず、いちは、「父を助けてくださるなら私は死ぬ覚悟はできています」ときっぱりと答えることで、役人一同が、彼女の刃のように鋭い最後の一句に胸を打たれ、太郎兵衛を死罪赦免とするのです。
これを著者は、「マルチリウム」(キリスト教の殉教)と記しているのが印象的です。
キリスト者の大前提は、キリストの十字架の死を通して示された神の愛を信じ受け入れていることです。
主は弟子たちに「わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いせよ」とお命じになられました。
*「アントニオ」とは、ラテン語で大変貴重なものという意味