「主よ、私の口に見張りを置き、私の唇の戸を守ってください。」(詩篇141:3)
これは「ダビデの賛歌」の一節です。敵が罠を張って自分を貶めようと悪行を企てる中、自らも同じように、悪に向かって悪をもって敵対することのないように、「私の言動をお守りください」というダビデの真実な祈りです。「口は災いの元」と言いますが、心にある本音がポロリと出て、窮地に立たせられることはよくあることです。「人間は考える葦である」で有名なパスカルは、『パンセ』の中で、「わずかなことが我々を悲しませるので、わずかなことが我々を慰める」と述べています。私たちは、些細な言動で人を傷つけ、また小さなことで、大きな慰めを与えることもあるのです。口を制御する者は、自らの心と思いをも制御できる人です。詩人はまた、「正しい人が真実な愛(神の愛)をもって私を打ち、…私を戒めてくれますように」と、神に祈り願うのです。神の真実な愛こそが、私たちを正しく導いてくださるのです。
*「アントニオ」とはラテン語で大変貴重なものという意味 (2022.11.3)