アブサロムの謀反

人が見るようには見ないからだ。人はうわべを見るが、主は心を見る。」第1サムエル16章7節

[聖書]2サムエル15:1-10   
 本章に登場する中心人物のアブサロムは、ダビデの三男で、政略結婚で妻としたゲシュルの王タルマイの娘マアカから生まれた子です。すでに、ダビデの大罪については、先週お話しし、彼の罪のゆえに後々、その咎を負うようになることを預言者ナタンによって告げられていました。このアブサロムは、ダビデの長男アムノンが妹のタマルを陵辱したことに恨みを持ち、父ダビデを騙し、義理の兄を殺してしまうことが13章に記されています。なんと兄弟で陵辱、殺人が行われたのです。こうした中で、アブサロムは徐々に力を掌握し、民にへつらい、民の心を盗み、父ダビデに謀反を企てて行くのです。

1.アブサロムのうわべとその心
 今回もまた、第一サムエル16:7の「人はうわべを見る」というこの世の現実から、信仰について考えさせていただきます。今回の主人公はダビデの子アブサロムです。彼の容姿について14:25に、「アブサロムほど、その美しさをほめそやされた者はいなかった」とあり、「彼には非の打ちどころがなかった」と記されています。それでいて王の息子、王子なのですから、まさに文句なしのうわべです。ところが彼は大きな問題を抱えていたのです。それは、兄のアムノンを殺したことで、ダビデから追放され、隔離されていたのです。それは、アムノン事件以来7年も経て、父に対する憤りが謀反というかたちで、今、明らかになろうとしているのです。

2.民の心を盗む手段
 本日の箇所は、まるで選挙戦の立候補者が街頭に出てやっているような手口です。1節にはその下準備ができていたことが記されています。続く節には、巧みに民にへつらうアブサロムの姿が描かれています。
彼ほどの容姿と背景なら、民の心は彼に惹かれるのは当たり前のことです。6節に「アブサロムはイスラエルの人々の心を盗んだ」とあります。

3.父ダビデの知らぬ間に
 あえて言えば、これらのことは、ダビデの罪の結果です。ダビデはそのことを悶々とした心で、受け止めていたのです。しかしダビデの他と違うところは、状況を顧みて、すべてのことを全知全能の主なる神にお委ねになるところです。アブサロムの結末は、エフライムの森での死です。(18:9)私たちは、心を見られる主に信頼して歩む者でありたいと願います。

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あすなろ福音キリスト教会 牧師

日本福音キリスト教会連合(JECA)
あすなろ福音キリスト教会 牧師
青森県十和田市生まれ
近畿大学商経学部卒&聖書宣教会(神学本科卒)

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